イントロダクション
我が家のライカMモノクローム(Typ246)が、2月25日で購入から1周年を迎えた。
現在までの撮影枚数は3,837枚。
1年間でこの枚数はちょっと寂しい感じがするが、このご時世だから仕方がないか。
今回は、1年間「モノクロ専用カメラ」ライカMモノクローム(Typ246)を使っての感想をお話ししたい。
ライカMモノクローム(Typ246)
まず、私の所有している「ライカMモノクローム(Typ246)」について簡単に紹介しよう。
- モノクロ専用カメラ。その名の通りカラーフィルターを廃しており、カラー写真を撮影できない。
- Mモノクロームシリーズの2代目。初代からセンサーをアップデート(CCD→CMOS)している他、本体は当時のM型ライカである「ライカM-P(Typ240)」をベースにしており、動画も撮れるしライブビューも使える。
- 定価はボディのみで1,155,000円(税込)。狂気のカメラ。
買った直後のレビューはこちら。↓
白黒写真しか撮れないカメラ
カラーフィルターがないことによる効能
有効2400万画素の新開発モノクロ撮影専用フルサイズCMOSセンサーを搭載したライカMモノクローム(Typ246)は、ローパスフィルターを搭載しておらず、またカラーフィルターを取り外したことで輝度値の演算に必要な色補間処理が不要なため、色を認識する撮像素子を搭載したデジタルカメラよりもはるかにシャープな描写のモノクロ写真を撮影することができます。
特徴 // ライカMモノクローム(Typ246) // ライカMシステム // フォトグラフィー – Leica Camera AG
Mモノクローム最大の利点は「カラーフィルターを廃したことによる、シャープなモノクロ描写」だと言われている。
この点について「やっぱりこのカメラのモノクロは違う!」とか言えたらかっこいいんだけど、正直に言うと、個人的にシャープさや、画質の優位性を体感できていない。
このカメラは、ライカM/M-P(Typ240)と同じ2400万画素のCMOSセンサーをベースに、カラーフィルターを取り払っているもの。その効果を測定するためには、比較対象となるカメラが必要だ。
しかし、私がこのカメラと併用している(いた)のは、APS-CセンサーのX-H1と、4040万画素のα7R Ⅲ。
「このカメラのモノクロがどのくらい凄いか」は、同スペックのカラーフィルターがあるセンサーで撮影した写真と並べて比較しないと分からないと思う。
…よし、M-P(Typ240)買うか(嘘)。
そんなわけで、「Mモノクロームのモノクロ画質の素晴らしさ・違いが理解でき、ライカMにおける最高のモノクロ画質を追求したい」人以外は、大人しくM10やM10-Pにした方が幸せになれる気がする。
並べないとわからない程度の違いなら、カラーもモノクロも両方楽しめる方がいい。
買ってよかった?まずかった?
じゃあ私がこのカメラを買ったことを後悔しているか、と問われると…そんなに後悔はしていない。
正直言って、ライカでカラー写真を撮りたい、と思うことはある。ライカの色は独特の深みがあって、それがライカの魅力の一つだとされているからだ。
それでも、モノクロ専用カメラには画質とは別の効能がある。
それは「覚悟の代替」だ。
Mモノクロームはそもそもモノクロしか撮れないので、「今日の撮影はモノクロ写真だけにしよう」とか、いちいち覚悟をして撮影に臨む必要がない。
カラー写真を撮る、という選択肢がないので、撮影中に迷うことがない(できない)のだ。
モノクロしか撮れない環境は、撮影時の被写体選びに影響を与える。
具体的には、必然的にモノクロ映えする被写体を探すことに専念することになる。
その結果、モノクロ映えする被写体を探しやすくなっている…はず。
結論を言うと、私にとってこのカメラは「白黒写真を撮る覚悟」の代替品であり、今の私には必要なカメラだ。
オートフォーカスがないカメラ
M型ライカはオートフォーカスがない。
今や動物の瞳に自動的にピントが合う時代に、手動でフォーカスすることに意味はあるのか?
私の結論は「別に意味はない」である。
人によって意見が分かれるところだと思うけど、少なくとも私はオートフォーカスがあるなら使えた方が便利だと思う。
つまり、無いものはないのでしょうがないから手動でピント合わせをしている、というのが実態である。
ただ、このカメラを使い始めてから、「カメラには必ずオートフォーカスがないとダメ」とは思わなくなった。
たしかに多少不便ではあるけど、自分でピントを合わせることで「思ったところにピントが来ない」ということがない。
フォーカス速度を犠牲にして、フォーカス精度を上げていると思えばいい。
動きモノを撮るわけでもないし。
AFを使うなら、α7R Ⅲを使えばいいし。
いいんじゃないだろうか。
レンジファインダーでのピント合わせ
デジカメのAF撮影に慣れた身に、レンジファインダーでのピント合わせはけっこう大変だった。
「玄人はファインダーは右目で覗き、左目も開いたまま両目で全体を見て撮影する」と聞いて試しているけどなかなかうまくいかない。
左目を閉じた状態でファインダーを覗いていないとなんかぼやける。
この辺はもう少し実験してみようと思っている。
レンジファインダーは、距離計窓から入った画像中央の小さい画像を、メインの画像と重ね合わせてピントを合わせる。
なので、画像中央に重ねられる対象物がないとピントを合わせられない。被写体が中央にない場合は、一旦中央でピントを合わせてから構図を合わせ直す必要がある。
中央のピント合わせ用の窓が小さいので、視力によっては使いにくいと感じるかも。
「老眼になったらライカは無理」という話をどこかで聞いた気がするが、確かに厳しいと思う。
老眼にはミラーレスのEVFによる恩恵は計り知れない…。
それはそれとして、単純にレンジファインダーでのピント合わせは楽しい。この気持ちが一番大事かもしれない。
露出合わせ
シャッタースピード、ISOにオート機能があるので、絞り優先オートにして使用することができる。その場合、背部ダイヤルに露出補正機能を持たせることもできるので、一般的なデジカメと同様に使うことができる。私も最近はこの使い方をしている。
一時期、それでは面白くないのでISOを固定し、絞りとシャッター速度を選択して撮影していた。
明るすぎ、暗すぎはファインダー下部に表示されるので絞り→シャッター速度の順番で操作して撮影。
マニュアル露出は時間かかりすぎる。
もしこの撮影方法を続けるなら、適切な露出のデフォルト設定をある程度記憶しておく必要があるだろう。
適切な値を覚えて露出を自在に操る、ということができる人には相性のいいカメラだと思う。
逆に、そういうの面倒だからカメラ任せにしたい(私含む)人にはもしかしたら向いていないカメラなのかも。
その他、細かいところ
この1年使用して、感じたことを箇条書き。
- 画像処理速度は気にならない
- ライブビューはほぼ使わない(目でカメラを固定しないとブレる)
- 動画は撮らない(動画やるならもっと適切なカメラがある)
- グリップがないけどなぜか握りやすい
- ずっしりと重い(でも不快ではない)
- 真鍮製のひんやりしたボディの感触が気持ちいい
- シャッターは人間工学とか考えられていないが、なぜか押しやすい
- センサー汚れやすい?買って2ヶ月でセンサークリーニングへ…。
写真
この1年間で撮影した写真を掲載する。…全部は無理なので、お気に入りのやつを順不同で。
いつまで使う?
傷だらけになるまで愛用したい。そんなカメラだ。
…これ、カメラのレビューをするときにいつも言っているような気がする。
今までのこともあるので、必ず10年使う!とかは断言しない。
正直言って、どんなカメラでも手離す時は必ず来る。
それまでの間、可能な限りしっかりと使っていきたい。
なお、現時点で買い替えは全く考えていないが、
- Typ246の写真では物足りない。
- ライカで撮影するのに疲れた。
- カメラを使いすぎて壊れた。
…なんてことがあれば、買い替えを検討することもあるかもしれない。
だが、それは少なくとも近日中や、1年以内とかではない。
「M10モノクローム」という後継機が発売されているが、現時点で買い替えの予定はない。
買い換える予算もない。もちろん買い増しもしない。
まとめ
そんなわけで、ライカと過ごした1年間。
買った直後に世界がコロナでバグってしまい、気兼ねなく外に撮りに行けなくなってしまったこと。
仕事の都合で札幌へ戻ることになってしまったこと。
この2つの不幸(?)が発生したのが悔やまれる。
いつか、なんの気兼ねもせず、東京の街をこのカメラで撮れる日が来ることを祈っている。
初コメントにて失礼致します。
いつも楽しみに拝見しております。
私もQ2MONOを購入し、Q2を所有しているわけではないのでカラーフィルターレスの効果がどれだけあるかは謎のまま使用しています。
そしてYMさんの仰る通り私も「白黒写真を撮る覚悟」の代替品としての購入です。
加えてYMさんのお写真を見ているとM型欲しくなります…。笑
Climb Techさん、コメントありがとうございます!!
Q2モノクローム、いいですね〜!
確かM10モノクロームよりも画素数が多いモノクロ専用センサーですよね?どんな写真が撮れるのか想像つかない…でも確かにQ2持ってないと違いがわかる自信がないです。
M型はレンジファインダーでEVFではない(撮影結果が見えない)ところがQ2との大きな違いですね。あと無数に選択肢がある、レンズ購入の物欲から自分を守らないといけない。
Q2モノクローム、とてもいい選択だと思います。M型は闇です笑
素敵な写真・楽しく読める記事。毎回ありがとうございます。
私にとって黒白写真とは [黒白フィルムで撮るもの] というコダワリというか習慣があります。なので撮影→現像→スキャニングが一連の流れになってます。
しかし、フィルムや薬品が高騰し、少ない小遣いを圧迫している現状に頭を抱えているのも事実…><
そんな時にブログ主さんのライカモノクロームの写真に触れると、デジタルで黒白写真もいいかもと心が揺れます笑。
そろそろライカモノクローム用貯金を始めないと行けない時期なのかな
こちらこそ、いつもコメントくださってありがとうございます!励みになります。
モノクロフィルムでの撮影・現像は僕にとって憧れですが、現像代の高騰ですか…。なかなかうまくいかないものですね。
ライカMモノクロームは…今度はボディとレンズ代がありえない額でお金がかかるので、それはそれでおすすめするのが難しい…!
フィルムカメラ、フィルムがなくなる前にもう一度やってみようかな…
念願のライカmモノクロームtyp 246を買いました。日本語版の取説を欲しいのですが、なかなか見つかりません。取説を売っていましたら教えていただ期待です。よろしくお願いします。