新しいカメラ買ったよ
LEICA M MONOCHROM(Typ246)
LEICA M MONOCHROM(Typ246) とは、ドイツのカメラメーカー 、ライカ(LEICA)から発売されている、モノクロ専用デジタルカメラ。
「モノクロ専用デジタルカメラ」とかいう、常人に理解不能なパワーワードがさらっと出てきたが、読んで字の如くこのカメラはカラー写真が撮れない。
苦手とかじゃなくて、撮れない。
ライカMモノクロームにはカラーフィルターが搭載されていないため、輝度値の演算に必要な色補間処理が不要なため、色を認識する撮像素子を搭載したデジタルカメラよりもはるかにシャープな描写のモノクロ写真を撮影することができます。(ライカ公式ページ「ライカMモノクローム(Typ246)」概要より引用)
要約すると「モノクロしか撮れないかわりにすごいモノクロ写真が撮れるカメラ」だ。
「色彩という、写真にとって大切なものと引き換えに、画素数以上のシャープな白黒描写を現実のものとする…」という、とても厨二病なカメラである。
なぜM MONOCHROMなのか
さらに本気でモノクロ撮影に取り組みたい
最近の私のモノクロとカラーの撮影比率は極端にモノクロ寄りになっていて、おおよそモノクロ8、カラー2くらいになっていた。
それならいっそのこと、中途半端なことはしないで10:0でいいじゃないか。
写真撮影=モノクロ撮影。
ただでさえ写真上達のスピードが遅いんだから、モノクロに全振りするくらいの覚悟が必要なのだ。
突き詰めると、このカメラにしたいちばんの理由は「もっといいモノクロ写真が撮りたい。」という、とてもシンプルなものだ。(だからといってこのカメラなら必ずいいモノクロ写真が撮れるかはまた別の話…)
新製品発表!に惑わされない
このブログを読んでくださっている賢明な読者の皆様は意外に思うかもしれないが、私は手持ちの機材は十分足りているのに新製品が出るたびに「買うか、買わないか」真剣に悩んだり、不必要にレンズや周辺機器を買い替えてしまう傾向がある。
ぜんぜん知らなかったと思うけど。
その結果、機材の機能や特徴を熟知する前に手放してしまうこともあった。
本当にごくたまにだけど。
その場合、新しい機材を(場合によってはあたらしいメーカーの機材を)知識がリセットされた状態で使い始めることになる。
楽しいけど、慣れるまではまともな写真が撮れない。
…そしてまた新製品が発表され、また売って…
こうなってしまっては、ただの「カメラ買替え芸人(≒廃人)」である。
もちろんこれは富士フイルムのカメラだから起きたわけではない。ニコンでもキヤノンでも体験してきた。カメラが趣味の人間にとって、これは呪いのようなものだ。実際、もうどうしようもないと諦めていた。
でも、ライカなら「特に必要はないけど、買えるから買っておくか!」なんてことは不可能なのではないか。
国産メーカーと同じペースで買い替えていたら確実に破産する。命の危機に陥るのだ。
また、ライカはカメラ・レンズが代替わりしていっても、それぞれの年代ごとに写りが異なり、年代ごとに固定ファンを持つ、という特異なメーカーだ。
新製品が発売しても旧製品の魅力が色褪せないなら、機材を5年〜10年程度のスパンで考えていける…はずだ。(ライカM10モノクローム欲しい)
かっこいいから
うん。かっこいいよね。
スペック・外観
導入の経過はこのくらいにして、ここで真面目にスペックとか書いてみる。
スペック
このカメラの主なスペックは以下の通り。
名称 | Leica M Monochrom(Typ246) |
レンズマウント | ライカMバヨネットマウント方式 |
撮像素子 | モノクロームCMOSセンサー ローパスフィルターなし(有効2400万画素) |
画像処理エンジン | LEICA MAESTRO(ライカ・マエストロ) |
ISO感度 | 320〜25000 |
シャッタースピード | 8〜1/4000 |
バッファメモリー | 2GB/連続撮影30枚 |
背面液晶 | 3.0型TFT液晶モニター(92万ドット) |
記録媒体 | SD/SDHC/SDXC |
バッテリー | BP-SCL2 |
寸法 | 幅138.6mm×高さ80mm×奥行き42mm |
質量 | 約680g(バッテリー含む) |
その他 | 1080pのフルハイビジョン動画撮影機能 |
撮像素子は2400万画素だが、カラーフィルターを廃していることで、より鮮鋭な画像を得られる。
なお、動画機能(最新の「LEICA M10 MONOCHROM」には非搭載)があるが、まだ試していない…。
外観
スペックはもちろん大事だけど、見た目も大事。ライカは見た目がいい。本当にいい。
非常にシンプルな上面。右から動画ボタン、電源スイッチ一体型のシャッターボタン、シャター速度ダイヤル、ホットシュー。
LEICA M10で登場するISOダイヤルはこの世代のボディにはなく、動画用のマイク?の穴が空いている。
なお、電源スイッチの「C」は連写モード。
手振れしたくない時に、連写は案外有効だったりする。
背面もなかなかシンプル。左上に「レンジファインダー」。左に6つのボタン、液晶画面を挟んで右にセレクトボタン。右上にはコマンドダイヤル。
このコマンドダイヤル、回すだけで露出補正ができるように設定可能。
これがなかなか便利だ。
底面はダイヤルを回して、底面ごと外す仕様だ。
この辺はフィルムカメラ時代のオマージュ。
正直、お世辞にも使いやすいとは言えない。懐古趣味的な感じも否めない。
なお、底面の質感が他と異なっているのは、新品時に底面を傷つけないように貼ってあるフィルムがそのまま残っているから。ライカの中古品はこれがそのまま付いていることが多い。底面だけ保護しても意味がないので、これはそのうち剥がすかもしれない。
センサーは剥き出しにならず、シャッターが閉まる。これはすごくいい。もちろん油断は禁物だけど、センサーにホコリが乗るリスクを軽減することができる。
作例
ここからは作例を紹介する。東京の街中をモノクロ×28mmで。
横断歩道の白黒、朝日と影。左下の、ほんのり暗く落ちる影の部分がいい。
この構図は一度富士フイルムのカメラでも撮ったけど、これまたシャープに映る。前日に降って天井に付いたと思われる雨の水滴も、よく見ると写っている…。
木の影が伸びる。影の柔らかい輪郭がいい雰囲気だ。
横断歩道の先の建物には、別のビル窓からの反射光が映る。横断歩道の先のカップルは、マスクもお揃い。
東京国際フォーラムの地下。壁一面に、波打つ光の筋。
いつもの展望スペースからのフォーラム内部。流石に撮り飽きた…かな?
東京国際フォーラムの広場にあったポール。
前日の雨が残っていた。柱の上部に光が当たり、他の部分と比較して浮き出している。
使ってみての感想
描写
まだ使い始めたばかりでこの辺は評価が難しい。
思った通りの素晴らしいモノクロ写真を撮れた、とも思うし、X100Fでも同じように撮影できる、とも思う。
買ったばかりで「眼鏡が曇っている」時に評価するべきじゃないとも思うので、この辺の評価はまた今度。
使い勝手
LEICA Mの宿命である「マニュアルフォーカス」については、慣れるのに時間がかかると思っていたんだけど、撮り歩くうちに違和感なく慣れていった。
レンジファインダーはたまに見づらいと感じることもあるけど、これはこれでカメラの個性として楽しめる。
実際、遠影撮影時に正確無比なピント合わせ…はできない(ライブビューを使えば可能)けど、今までのカメラのAFとピント精度を比べたわけじゃないのでなんとも言えない。
ただひとつ言えることは「マニュアルフォーカスは楽しい」ということだ。能動的にピントを合わせている感覚はクセになる。
撮影時の意識
今まで以上に「モノクロームとして映える被写体」を探すようになった。というか、そういう被写体を探す能力がなければ、このカメラを生かせない。
なので、それはもう必死で探す。
今までも「光とか影が印象的なもの、質感がいいもの」を優先的に探す傾向があったが、このカメラで撮影するときは「光とか影が印象的なもの、質感がいいもの」だけを探すようになった。
これは強制的な意識改革だ。これが今後の写真にどんな影響を与えるかは未知数だけど。
まとめ
今の段階ではまだ、このカメラを評価することはできない。
どうせ買い換えできないので、これから数年かけて答えを出していきたい。
同時購入したレンズ「LEICA ELMARIT-M f2.8/28mm ASPH. 」については次回。
おまけ
ここまで散々、モノクロ写真に取り組む覚悟とか言っているところなんだけど、実は富士フイルムのX-H1は手元に残した。
なかなかのビビリ…というのもあるが、そもそもX-H1を今更売却しても、購入時の3分の1の金額も取り戻せない。
その割に、第3世代センサーのカメラの中では最高にハイスペック(手振れ補正・動画機能)なので、かなり便利に使うことができる。
この辺のことも、また別の記事で書いてみよう。
ついにやってしまったのですね。
沼から脱出し、二度と落ちないよう最も高い頂に登ってしまうという 笑
最初はレンタルされてのレポートかと思いきや、恐れ多くもオーナー様とは。
おめでとうございます、と申し上げるのも不遜な感じですし、ただひたすら敬服するばかりです。
当機種のリンクがないのも管理人様の良心ですね。俗者の我が身を恥じるのみですが、
やはり価格に目が行くと「え?一桁違う?」となってしまいますから。
今後の作例とコメントに一層期待しております。
やってしまいました…
もう今までみたいに機材をホイホイ買えないので、逆にお金が節約できるのではないかと…いやそれはかなり苦しい言い訳ですけど笑
でも、今まで買った機材に費やしたお金を振り返ると(吐きそうになるので振り返りたくないけど)、最初からライカでもよかったのでは?と思うほど、ありえない数の機材を買ってたんですよね…
とにかくカメラは使わなければ買った意味がないと思います。
より一層はりきって写真を撮って、ブログを更新しようと思ってます!
インスタ、ブログを拝見させていただきました。素晴らしいですね!モノクロームを極めること事から、ライカ進出もおめでとうございます!
何かに没頭できるって楽しいですよね。
僕もたくさんカメラを触ってきましたが、行き着く先はFujiで、Pro3を買わずPro1,2の二個持ちを選択しました。
ただ、ライカL39、Mがケラれるので、
ライカになってしまいそうになってます。
フィルムもやっていて、僕はまだ先になりそうですが、M3かM2が初進出になりそうです。
ライカのファインダーは日本で作ろうとすると100万円以上する。とお店の人に言われました。確かにファインダーをのぞいた状態で両目開けて、対象を見ると、ファインダーを通して見る景色と肉眼で見る景色に差異がないんですよね。
あれを見た後にFujiのOVFを見るともうダメで、EVFしかみれなくなります。
失礼しました。
とても深く探求されていて、お話ししたら楽しそうだなと思い、あれこれ書いてしまいました。
メグ吉さん、コメント&褒めていただき、ありがとうございます!
フィルムライカ、いいですね!M3は永遠の憧れです。特にM3のファインダーは初代Mにして最も完成度が高いとか…。
X-Pro2、私もEVFばっかり使っていて、OVFは買ったばかりの頃以降は全然使わなくなってしまいました。
人間は楽なほうに流れていってしまうのかもしれませんね。
深い探求…できたらいいなぁ…
> 新しいカメラ買ったよ
何を買ったのだろうと記事を読みすすめようとしたら、即答えが…
[ライカMモノクローム(Typ246)]
びっくり。
そしてその写りにも…
びっくり。
モノクロはフィルムでしか撮ったことが無かったので、この記事に触発されてデジタルでもモノクロしてみようかな?とか思いました。
これから載るであろうライカMモノクロームでのモノクロ写真を楽しみにしています。
買っちゃいました…
買っちゃったものはしかたがないので、それはもう撮りまくろうと思います!
モノクロフィルム、いいですね!
モノクロフィルムは使ったことないので、いつかフィルムカメラ×モノクロフィルムでの撮影もしてみたいです。
その時はもちろんACROSで!
おはようございます!
掲載の各写真を愉しく拝見しながら、記事を興味深く拝読しました。
「モノクロ写真だけ!」というカメラは、多分Leicaの製品に例が在るだけでしょうね。非常に大胆な発想のモノだと思います。
そして「モノクロ写真をもっと撮る!」とそれを入手されてしまったというのも、「思い切った決断を…」と少々驚きました。
「モノクロ写真をもっと撮る!」と入手された新機材での各写真には少し見入ってしまいました。
東京駅傍の<KITTE>で撮られたという、建物前の横断歩道や、建物内という感じは「形と光の面白さを画に」という「モノクロ写真らしさ」を追掛けている感じでもありますが、こういうのに惹かれます。
掲載されている各写真ですが、何れも「モノクロだからより佳い」と思える画だと思いました。こういうような感じで、ドンドン色々な場所での画が登場することを愉しみにしたいと思います。
おはようございます!
モノクロ専用カメラ、国内メーカーでも発売するという噂だけは何回か聞いたことありますが、実現は難しいのかもしれません。
モノクロしか撮れないカメラを、しかもあの価格で出せちゃうのはライカだけではないでしょうか…
今回の決断はかなり思い切りましたが、今のところは後悔していないです。思った以上に自分の中でモノクロ写真が占める割合が高かったみたいです。
「モノクロで撮る意味」のある写真を撮りたいと思っていますが、なかなか難しいですね…もっと頑張ります!