大三元レンズは必要?趣味の写真で実際に使って考えたこと

【2026年追記】大三元レンズは今でも必要なのか?

この記事を書いたのは2017年。当時は「大三元」と呼ばれるF2.8通しのズームレンズが、ハイエンドズームの定番だった。

それから約9年。カメラの高感度性能や手ブレ補正は進化し、F4通しのズームや小型軽量なレンズの選択肢も増えた。
(もちろん、動く被写体を撮る場合など、F2.8の明るさそのものが必要になる場面は今でもあるが。)

そのため、「大三元を揃えれば間違いない」という考え方は、以前にも増して万人向けではなくなったと思う。

一方で、F2.8の明るさ、防塵防滴、AF性能などが必要な撮影では、現在でも大三元クラスのレンズには明確な価値がある。

この記事では、実際に大三元レンズを使った経験から、「趣味の写真に本当に大三元は必要なのか?」を考えている。

君は大三元レンズを知っているか?

FUJIFILM X100F (23mmF2, 23mm, f/2, 1/55 sec, ISO640)
道祖神(立川の動物たち-犬)(ゲオルギー・チャプカノフ) 彼はいつもデッサンをしています。そのドローイングはスピードがあっていきいきしています。肖像彫刻も得意ですが、今回は立川の鉄屑屋さんをまわって、昔使われた農機具の残骸を集めてきました。耕転機の羽は羊の角だとか、材料を見ながらどういう動物をつくるか考えていくのでした。しかし機会はとがっていたりするので、街の中に置くために安全にするのが一工夫でした。

さて、皆さんは大三元ってご存知だろうか。

もともとは麻雀用語で、「白・發・中の3種類をすべて刻子または槓子にして和了した時に成立する」役のことらしい。

麻雀がわからないので意味不明だ。強い役なんだろうか。

カメラ界の「大三元」

もちろん今回、麻雀の話がしたいわけではない。

カメラ界の「大三元」の話だ。
そしてそれが万人に必要か、という話がしたい。

カメラ界の「大三元」とは、3本のハイスペックなズームレンズからなる、隙のない編成のこと。

 

具体的にはF値(絞り値)がF2.8以上の

  • 広角ズーム(14mm〜24mm程度)
  • 標準ズーム(24mm〜70mm程度)
  • 望遠ズーム(70mm〜200mm程度)

の三種類が揃っていることを言う。

これが揃っていると広角14mm〜200mmまで、全ての画角で絞り開放F2.8を使用できる。

カメラマンには夢のような環境…のはずだったのだが。

大三元のメリット

大三元レンズ最大のメリットは、なんといってもそのレンズの明るさ(開放F値の最小値が小さいことを「明るい」と言う)。
暗い屋内でもシャッタースピードを速くできるし、絞りを解放してボケ量を大きくできる。

そしてこのクラスのレンズはいわゆるフラッグシップレンズであり、各社持てる技術を惜しみなく投入している。
そのため、ズームレンズとは思えないようなすばらしい描写をする、らしい。

最高の写真を撮ることが求められるプロの現場では重宝されている。

また、プロユースに応えるため、防塵防滴(ちょっとくらいの雨風ではビクともしない)が基本装備である。

大三元のデメリット

そんな最高に見える大三元だが、欠点もある。
そしてこの欠点は、たいがいの人には致命的だ。

大きい・重い

大三元はとにかく「よく解像する」ことに特化して開発されている。
それはもういろいろと度外視して、光学的もにいろいろと無理をしている。

その結果、レンズの枚数やら大きさやらがかさんで巨大化する。そして当然重くなる。
レンズによっては1kgを超えるものもあり、3本持ち歩けばかなりの重量になる。

…大きくて重い。

これはもう本当にどうしようもない欠点で、持ち運べない、持ち運びにくい、というだけで「写真を撮りに行こう」という意欲が削がれる。

よほどの体力自慢でもない限り、カメラ用品で撮影意欲が削がれる、という本末転倒の状態になる。

高い

いろいろ極めているので、もちろん高額になる。

どれくらい高額かというと、大三元1本(フルサイズ用)で20万円程度。3本揃えるのに低く見積もっても50万円〜60万円。

ちなみに1グレード下の小三元(F4通しのズームレンズ)にすると20万円〜30万円くらいになる。

小三元でも十分高い。ただ、大三元の高さは異常だ。
週末にちょっと遠出して写真を撮ってます程度のカメラマンが原価償却できる価格ではないのだ。

レンズのグレードを落として、浮いたお金で撮影旅行に行ったほうがいい。

【2026年追記】
大三元レンズは、現在では1本30万円前後するものも珍しくない。
3本揃えれば、新品実売価格でも80〜100万円前後になる場合がある。
この記事を書いた2017年当時より、さらに高価なシステムになってしまった…。

違いがよくわからない

これは一番致命的だ。

ハイアマチュア(笑)が大三元をオススメしちゃってる光景が日常的に展開されている価格コムでは、そういう人たちが「やっぱり画質がいい」とか「次元が違う写り」とか「周辺の画質がいい」とか言っちゃったりしてるわけだが、現実的には素人が一目で看破できるような「違いなんてほとんどない」。

少なくとも大三元を使うことで、撮影できる写真が格段に良くなる、なんてことは絶対にない。

今はiPhoneでも素晴らしい写真が撮れる時代だ。

試しに大三元と小三元でパンフォーカスで撮影した風景写真を2枚並べて彼らに見せて「大三元、どっち?」と聞いてみるといい。

きっと正解率は低いだろう。

まとめ

書いている量でわかると思うが、メリットよりもデメリットのほうが圧倒的に多い。
周辺画質が多少良かろうと、解放F値に余裕があろうと、大三元に小三元の2倍の価値などない。
プロカメラマンにはその価値があるのかもしれないが(大多数にはないと思うが)、一般の写真が趣味のカメラマンにはまったくその価値を享受できない。

むしろ重さがネックになって、撮影旅行が悪夢に変わるリスクの方が大きい(体験済み。)

これが、ニコンで間違って大三元を揃えてしまったぼくの結論だ。
そんなぼくがニコンを手放した時の話はこちら。

ズームレンズを買うときは、一度冷静になって、「何を撮りたいか」「どうやって持ち運ぶか」「予算はいくらか」をしっかり考えて行動に移すことを強くオススメする。

FUJIFILM X-T2 (XF10-24mmF4 R OIS, 10mm, f/4, 1/210 sec, ISO200)
きみはただここにすわっていて。ぼくが見張っていてあげるから(ホセイン・ヴァラマネシュ) ヴァラマネシュは日常の空間の中に、思いもかけない空間をつくりあげる作家です。今回の作品はふたつの車止めという条件を守りながら、自分が使っている椅子と本をブロンズの車止めにし、自分の影を舗道にすりこみました。彼自身の日常を日本の公共空間の中に突然登場させたのです。それは美術だけに可能な異空間の表現なのです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

なんでこんな記事を書いているのかというと、うっかりXFレンズの大三元レンズを買いそうになることがある自分への戒めである。

【2018/8/19追記】…結局、また大三元レンズを買ってしまった…。

レンズ

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1件のコメント

初めてこのブログ見ました
この人レンズ沼を戒めるのになかなか的確で面白い表現するなぁと思いました
そして最後のオチで最高に笑いました

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