少し前の記事で、アーロンチェアが欲しい、という話をした。
そもそもただのおっさん(社畜)に20万円の椅子が必要か、という話はともかく、せっかく「なんでもある街」東京に住んでいるので、試しに座りに行ってみよう!ということになった。
同じようにハーマンミラー社のワーキングチェアを購入しようとしている人の参考になれば嬉しい。
前提条件
ワーキングチェア選びは、とにかく体にあっているかどうかが大事。
そして、体型の数だけ正解がある。
他人の書いたレビューだけではどうしても限界があるのだ(この記事の存在意義全否定)。
…そして今回試座(試しに座ること。ワーキングチェア業界用語。)するのはこんな体型の人だ。
- 身長165㎝
- 足が短い・太い
- 胴が長い(胴から上だけなら身長180㎝クラス相当)
- 腕が短い
- 経済力はない(社畜)
- どちらかというと前傾姿勢での作業が多い(姿勢は悪い)
…少し悲しくなってきた。
つまりは「標準的な体型」の人ではない、ということを念頭において見てほしい。
ハーマンミラー社のワーキングチェアは人気があるので、座り心地に関する記事は無数に出てくるけど、こういう「完璧以上の日本人体型」の人のレビュー記事がなかったので、自分で書いてみることにした。
アーロンチェア・リマスタード
まずはみんな大好き、アーロンチェア。
こんな椅子
ハーマンミラーを象徴するワーキングチェア。
初代は1994年発売。
現在販売されているのは2017年に登場した後継機「アーロンチェア・リマスタード」。
ネーミングが厨二病心をくすぐるぜ。
「ワーキングチェアの王様」と呼ばれるほど知名度が高く、評判もすこぶるいい。
著名人(ワンピースの作者とか)が使用していることでも知られている。
座ってみた
- 体の大きさで選べるようにA、B、Cの3サイズ展開。さすがアーロン、隙がない…と思ったら、アメリカ人じゃない胴長短足の自分には「これだ!」というちょうどいいサイズが無い。…これだけ高価な椅子なんだから部品のサイズオーダーをさせて欲しい(Aの座面と、Bの背もたれ、Cのアームが多分最高)。
- Aサイズ:座面奥行(45㎝)・高さ(42㎝)はちょうどよくて足を地面に付けられるが、胴が長い自分には背もたれが低すぎて上部フレームが背中に干渉する。短い腕にはアームの位置も低すぎる。
- Bサイズ:背もたれの高さ・大きさはいいが、座面奥行が長くて(47㎝)膝裏に干渉し、座面も高すぎるため(44㎝)足が完全には付かない。アームはまだ少しだけ低いかなぁという印象。
- カラーは定番のグラファイト(黒に近いグレー)の他にミネラル(白に近いグレー)、カーボン(グラファイトとミネラルの中間くらいのグレー)と3色展開。
- 他の機種と比べて金属部分が多く、耐久性は良さそう。
- これは主観だが、ハーマンミラーの椅子の中で一番かっこいい(重要)。
- 機能は盛りだくさんで、基本的にほとんどの部分が調節できる。特に「前掲チルト(通常よりも少しだけ背もたれが前に倒れる)」ができるのが売り。…ただし、この機能の良さは少し座ってみたくらいでは正直よく分からなかった。長く使ったり、実際に作業に使うことで初めて実感できるもののような気がする。
- サイズ選びと並んで、この椅子最大の問題は価格。リマスタードになって値上げした結果、エンボディチェアとほとんど変わらない値段(20万円オーバー)に。いいものなのは分かるけど、ちょっとこれは…。
総合評価:B+(Bサイズだとフットレスト必須か。経済的な負担あり。)
エンボディチェア
こんな椅子
座ると健康になる椅子、というコンセプトで作られたハーマンミラー社ワーキングチェアのフラッグシップ。
背骨のカーブに沿った背もたれは体の動きに合わせて柔軟に動く。
そしてフラッグシップなだけあって、自在な各部調節機能が魅力だ。
ただし発売は2009年。10年以上経過しているし、買った直後にリマスタードとか発売しないか非常に不安だ。
座ってみた
- 座面の高さをかなり低めにできる(41㎝)。座面の奥行きも十分に短くできる(42.5㎝)ので胴長短足でもしっかりと足が付く。
- 背もたれは大きく高さも十分。全機種で最も柔らかい座り心地はスプリングベッドに腰掛けているみたいでとてもいい。リラックス用途にも使えそう。
- アームはもう少しだけ高くできてもいいかな…という感じだが、問題ない。ちなみに高さ・幅は調節できるが、前後にはスライドしない。気になったのはアームの材質(樹脂製)、幅の調節方法がダイナミック(根本から開いたり閉じたりする)で間違った使い方をするとすぐ壊れそう、というところ。
- この椅子は後傾姿勢(少し背もたれを寝かせて作業する方法)で使うことを前提としているけど、普段の仕事場ではあまりその姿勢にならない(仕事柄、書類を机に置てタイプしたり書いたりするから)。「書く」仕事には向いてない気がする。(いや、別に家で書き仕事はしないけど。)
- アームのところでも少し書いたけど、値段の割には樹脂製の部品が多くて耐久性が不安。アーロンチェアの方が耐久性は高そう。
- 機能、座り心地は最高だが、値段が高すぎる。アーロンチェア・リマスタードからさらに3万円ほど高くなる。
総合評価:A(ただし、リマスタード発売が怖くて手が出せない)
ミラ2チェア
こんな椅子
座る人の動きを鏡「ミラー」のように反映する、というコンセプトで開発された椅子。
初代「ミラチェア」が2003年、後継機の「ミラ2チェア」は2014年発売。
座ってみた
- 全体的に大きくて大袈裟なデザインに感じた。アーロンチェアよりも存在感が出てしまうかも。
- 座面の奥行き調節機能があるのは素晴らしいのだが、下に折り曲げる方式なのがまずい。膝裏に干渉しなくても結局スネ裏に干渉してしまう。
- 座面の高さはまあまあ下がるが、上記の座面調節機能のせいで快適にはならない。
- 前掲チルトができる。
- アームがやたらゴツい。高さも不十分。
- まあまあ値段が高い。
総合評価:B –(いい椅子だと思うけど、アーロンやエンボディとの価格差が微妙で積極的に選ぶ理由がない…。)
セイルチェア
こんな椅子
「最小限の素材で最高の椅子を」がコンセプト。2011年発売。
ヨットの帆の様なデザインの背もたれを持つことからセイルチェア、という名前らしい。
ハーマンミラーのオフィスチェアの中では最もお求め易い価格帯(10万円近いけども)。
座ってみた
- 上記3つの椅子と比べると軽くてコンパクト。デザインは好き嫌いが別れそう(自分はわりと好き)。
- 座面の奥行きを十分に短くできる(40.6㎝)ので膝裏に干渉しない。
- 座面の高さも十分に下げられる(42.5㎝)ので足が完全に付く。
- この値段で前掲チルトができる
- 高さ調節アームは機能的には不十分。フルアジャスタブルアームは必須だと思うが、試せなかった。アームの耐久性は低いという噂(表面がボロボロになる)あり。
- 背もたれのデザインが仇となり、ズボン尻ポケットのボタンが引っかかって持っていかれる。ただし家で使うときはほとんどスウェットパンツとかだから問題ないかな?専用のニットジャケット(背もたれに被せる)がある。
- フルアジャスタブルアームとランバーサポートを付けるかどうか悩むのが面倒くさい。オプション(特にランバーサポート)を付けると即納は不可能になり、2〜3ヶ月待ちに。その選択肢は正直いらなかった…(納期を優先して付けないと後悔しそう)。
- アーロンチェアレベルの調節機構がありながら、値段がだいぶ安い(とはいえ10万円くらいするけど)。ただ、アーロンチェア並みに所有欲を満たす椅子か、というとなんとも言えない。「ハーマンミラーの椅子」という価値はあるかもしれないが、素材感は「高級」とは程遠い…
総合評価:A(ギリギリ現実的な値段。デザインが好みなら最有力候補になる)
試座の結果発表!
試座の結果、今のところの順位はこちら。
1位:アーロンチェア・リマスタード(Bサイズ)withフットレスト
2位:セイルチェア
3位:エンボディチェア
4位:ミラ2チェア
…そもそも「高価なオフィスチェアが必要な生活は送っていない」という根本的な問題はある。
でも、同じ値段でカメラボディを買うよりかは生活が充実しそうだ。
さて、どうするか。(別にIKEAでいいかなぁ…)
追伸:Nikon Fが欲しい
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