2017年5月中旬、2012年10月から約5年間にわたって使ってきたニコンのカメラ・レンズとお別れした。
今回から不定期連載で3回に分けて、
「ぼくがどうしてニコンを手放したのか」
について書いてみようと思う。
「こんなアホな機材選びしているヤツ、本当にいるんだなぁ」って感じで、反面教師として、「これからカメラを買おう、趣味にしよう」って人の参考になればいいと思う。
1.カネがかかる
まず最初に断っておくと、べつに「ニコン」というメーカーがダメとか、そんなことを言うつもりはいっさい無い。
そこは勘違いしないでください。マジで。
これは「自分の身の丈にあった機材選び」ができない人の失敗談だと思って読んでほしい。
さて、それでは1つ目の理由。
とにかく、カネがかかる。もうなんか、かかってしかたがない。
ニコンやキヤノンは老舗ということもあって、自社レンズやサードパーティ製(タムロン・シグマ等)レンズの選択肢が、それはもう無限大にある。
特に目的なく「とにかく一眼レフで写真を撮ろう。なんかカッコいいし」なんて考えてるビギナーがこれを手にするとどうなるか。
キットレンズだけ使っていて、「なんか思ってたようないい写真が撮れない」と言ってカメラをさっさとやめてしまう…ならまだマシだった。
フルサイズ一眼(D600)と単焦点レンズ(AF-S 50mm F1.8G)を買って、初めて撮影。「おお、これはいい。すばらしい解像度だ」とか、わかりもしないのに盛り上がってしまった。
それでなんかいろいろ写真を上手くなりたくて、安めの標準ズームレンズとか、広角単焦点レンズとか、使いたいレンズを買い足していった。…ところまでは良かったんだけど。
NIKON D600 (AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G, 50mm, f/2.5, 1/1250 sec, ISO400)
少しすると、自分の写真に必要がないレンズでも、「やっぱり望遠ズームレンズくらい持ってないと」「マクロレンズがあると便利かもしれない」とか考え始めちゃう。
「病気」が発症するのだ。
かくして、毎日マップカメラのHPを訪問するようになるのだった。
もうそうなったらあとは堕ちるだけ。
気が付いた時には、家にはニコンが誇る最高画質「D810」と「大三元レンズ(F値がF2.8通しのズームレンズ三種のこと。ぜんぶ定価20万円超え。)」がそろい踏み。
単焦点レンズも高級なF1.4シリーズが2本(AF-S NIKKOR 58mm F1.4G、AF-S NIKKOR 35mm F1.4G。それぞれ定価20万円クラス。)
なんか最後のほうは最新のタムキュー(SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD (Model F017)。タムロンの定番マクロレンズ。)とかまであった。末期症状である。
これはニコンにもカメラにも限らないが、趣味っていうのは、金銭感覚を麻痺させる魔力を持っている。レンズ1本5万円で「安い」とか、はたから見たら頭がおかしい。
で、得られるものは「わかる人にはわかる」程度の差だ。
正直言って、2万円のレンズも20万円のレンズも基本的に撮れる写真に大差はない。実際のところ違いがわかる人は少ないだろう。
カメラ大好きなぼくが言うのもおかしいかもしれないけど、正直、「カメラ・写真」趣味のコスパは非常に悪い。
かかった金額分のリターンが得られることは非常にまれだ。
さて、ここでニコンのカメラ・レンズにかかった金額を計算してみた。
1,613,000円。
16万円じゃないよ。160万円だよ。
これだけの金額をかけてできるのは「月に数回、写真を撮りに行って、無難な写真を撮る」ことだけ。…本当にそれだけ。
使いもしない大三元を大枚叩いて買って、ただ置いておくことが写真趣味ではない。
「いい機材を買うこと」がゴールであっていいはずがない。
それらを買った金で、海外でも行って、コンパクトカメラやiPhoneで、そこでしか撮れない、いい写真をいっぱい撮ってきたらいい。
この状況から逃れる必要があった。本来的な「写真趣味」に、立ち返る必要があった。
これがニコンを手放した、ひとつめの理由。
【次回につづく】
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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一瞬自分のブログかと思うくらい境遇に似た部分がありました^^;
ただ今考えたら無駄だったと感じる数々の機材も、やはり実際に持って使ってみてそう実感できたのだと思うので全くの無意味ではなかったような気もします。…が、どう言い訳しようがコスパの悪さは否定しようがありませんね(^_^;)
こんばんはです
RAICHさんも同じ病気の持ち主ということで、なんか親近感が湧いちゃいますね!
カメラ機材って「目的」がしっかりしてないとどんどん増えちゃうんですよね…「趣味だからOK、いつか使うから」とか思っちゃう。ちゃんと使えた試しがない…
でも、たしかに「1回やってみる」ことでわかることもありますよねー。それはすごく分かります。
まあ、ぼくのはやりすぎだと思いますが(笑)
スナップ・ネイチャー・風景・飛行機と「目的」がしっかりした上でサンニッパとか購入してボディも2台持ってしまった挙句にロクヨン欲しがってる僕はもうダメかもしれない…
Takuさん、コメントありがとうございます!
いやいや、目的がしっかりあって、そのために機材を適切に揃えているなら全く問題ないと思いますよ!
ぼくの場合は特段の目的もなく、ぼんやり大三元を揃えるという失態を犯してしまったので…
撮影経験はありませんけど、飛行機を撮る場合はサンニッパ・ロクヨンが必要なケースがあるっていうのはなんとなくわかります。(値段がすごいことになってますけど…)
きっとすごい写りなんだろうなぁ…
そういう機材を買った人の作品を(タダで)見られるのはラッキーだと思っています(笑)
カメラバッグを探すため、Webサイトで”大三元が入るバッグ”と検索したらこちらに(笑)
なんか、お話読んで少し楽になりましたwありがとうございます。
というのも、私も同じ思いにさいなまれて、「大三元揃えなくちゃ!」という、強迫観念にとらわれ中だったので。
しかしながら、ラッキーなことに資金力が無く、未だ全部そろえてません。
今後は必要な物(必要とする焦点距離)と目的をハッキリとしてから買いたいと思います。
JMさん、コメントありがとうございます!
大三元については「少なくとも僕には不要だったし、世の中のほとんどの趣味カメラマンにとって不要だろう」というのが持論です。
それでもお気に入りの焦点距離の大三元を1本買う、みたいなのはいいと思うんですよ。気合いが入りますし。
でもコレクションするみたいに「揃える」のはホントにプレッシャーになるので、よほど腕がある人か、プロの人以外はお勧めしません…
はじめまして!
大三元不要論、日ごろの思うところにどんぴしゃりですっきりしました。
適材適所で必要なレンズを揃えていきたいものです。
使えるお金も限られておりますので(;O;)
現在ニコンD750ですが
フジへの移行もレンズも含め悩んでいて。
そんなときに大手2社フルサイズミラーレス出してきましたし。。。
機材のことを考えると頭の中が混沌としていきます。。。
おお。
なにせしばらくおちついて様子見します。
ブログまたお邪魔させてくださいませ。
とても面白いです!
ほたるさん、コメントありがとうございます!
大三元は誰しもが必要なものじゃないし、フルサイズカメラもミラーレスである必要性はない、というのが私の考え方です。
が
大三元は結局買っちゃってるので偉そうなことは言えないです…
富士フイルムはいいですよ!
システム全体で結構コンパクトにおさまります。
ニコンのD750はいいカメラですよね。
富士フイルム使いからするとかえって羨ましいことも多いです(サードパーティの選択肢とか、周辺機器の充実ぶりとか)
フルサイズミラーレスは始まったばかりなので、様子見はとても賢明な判断だと思います!(たまに衝動的に欲しくなるのは内緒ですが)