私にとって、写真趣味の歴史はすなわちカメラ買い替えの歴史。一つのカメラに集中して長い年月を共に過ごす、という「理想」とは程遠く、無意味な買い替えを繰り返すのだった。
基本的に家に篭っていなければならないこのご時世、暇つぶしにここまでのカメラ(買い替え)人生と、そのなかでも転機になったカメラの購入・買い替えについて、そのきっかけや思いを振り返ってみよう。
OLYMPUS PEN E-P3
人生初のレンズ交換式カメラとして購入したOLYMPUS PEN E-P3。
購入したきっかけは宮崎あおい(オシャレ)である。カメラ女子になりたかったわけではないが、いわゆる一般的に言われているような「カメラオタクや写真オタクになりたくない」という強い思いがあったことは間違いない。(当時の写真を趣味にしている人たちに対する印象は「重度の撮り鉄のそれ」であり、チェックのネルシャツにベージュのカメラマンベスト、ケミカルウォッシュのスリムジーンズにバンダナというスタイルだった。うん、極端。)
当時競合として購入候補に挙がっていたカメラは「Nikon D7000(キムタク)」「PENTAX K-3」「Canon EOS 60D(渡辺謙)」あたりだったと思う。「RICOH GXR」「FUJIFILM X-Pro1」も候補に挙がっていたけど、GR DIGITAL Ⅱと被るという理由で断念した記憶がある。
色々と検討した結果、「コンパクトなサイズ」「カメラ本体のカッコ良さ」「動きものは撮らない」「一眼レフ=やばい撮り鉄という偏見」という分析によりPEN E-P3に落ち着いた。シャレオツである。
Nikon F3
「フィルムカメラはイケてる」
それがこのカメラを導入した1番の理由だ。とにかくかっこいいのだ。そして「フィルムカメラ使ってる俺カッケー」という気持ちがあったことは否定しない。っていうか100%肯定する。
ちなみにこの時カメラ選びに活用した雑誌は「写ガール」である。なんだろう、カメラ女子になりたかったんだろうか。
レンズは50mmを1本。これも雑誌を見て「これでいいか」的な感じで購入した「Ai Nikkor 50mm F1.4s」。これは間違いないセレクトだったと思う。この後、D600、D810の代になっても使い続けることになった。
ただF3に関していえば、フィルムカメラをメインにするのは厳しかった。あるとき、フィルムの入れ方をミスって撮影した36枚全てが無に帰った。その時に悟ったのだ。「自分にとって、フィルムカメラはサブ機だ」と。でも、サブ機と割り切れれば面白いことに変わりはない。またいつか欲しい。
OLYMPUS PEN E-P3 → Nikon D600
フルサイズが欲しかった。言ってしまうとそれだけだ。
E-P3の性能でも全く不都合はなかったし、別に趣味でやってるだけなので大きなセンサーが必要だったわけではない。
F3を使ったのが良くなかった。「不変のFマウント」により、既に持っているマニュアルレンズが使えるのも良くなかった。「エントリーフルサイズ」がちょうど発売したタイミングで「Nikon D600」「Canon EOS 6D」が揃い踏みしていたのも最悪にタイミングが悪く、正当進化で本来買い替えるはずの「OLYMPUS OM-D E-M5」の評価が優れなかったのも良くなかった。
うん、だから私は悪くない(悪い)。
動機が最低だったフルサイズデビューカメラ「Nikon D600」だけど、買い物としてはとても満足だった。マイクロフォーサーズセンサーからいきなりフルサイズセンサーにサイズアップしたことで圧倒的なボケ量や階調の豊かさに、「あれ、俺カメラ上手くなったんじゃね?」とチャラい感じに勘違いするくらいには満足度が高かった。
…ただ、振り返るとこのカメラが「カメラ趣味には金をいくらかけてもいい」という危険思想のきっかけになった。「趣味なのにフルサイズを買った」ことで、人生にとって大事なもの(経済観念)が壊れてしまったのではなかろうか…。実際、この後D610を挟んでのD810、そして大三元地獄へと繋がっていく…。
Nikon D810 → FUJIFILM X-T2
フルサイズは要らなかったので断捨離しましょう。
建前としては「X-T10導入によりAPS-Cでも素晴らしい写真が撮れることに気付かされた」ことが理由で、これだけ聞くと身の程をわきまえた英断…のようにも見えるけど、その実態は大三元を揃えるまでに肥大化したニコンのシステムを完全に持て余したことによる「断捨離(笑)」だった。
一時の感情で今まで積み上げてきたものをぶん投げるといういつものパターン。面倒臭くなったのか、センセーショナルな行動をしてみたかったのか、とにかく色々と壊れている。
なお、この直後に「Canon EOS 5D Mark Ⅲ」を買い直しているところに心の闇を感じずにはいられない…。
Canon EOS 5D Mark Ⅲ → FUJIFILM X-H1
X-H1はオールインワンの、最高のカメラだ!
というのが、このカメラを導入した理由になる。このとき厳密にはCanon一式だけでなくX-T2も一緒にいけにえになっているが、ここでメイン機種が(ほぼ)FUJIFILMオンリーになった。
ちなみにこの時「Canon EOS 5D Mark Ⅲ」を手放したことはいまだに後悔している。あのカメラは歴史的に「最高にかっこいいデジイチ」だと思っていて、一緒に買ったレンズ「EF50mm f1.2L USM」も最高の標準レンズ(デザイン含む)だといまだに思う。
ここまでの流れで分かっていただけたかもしれないが、カメラを購入してしばらく経つと、当初の目的や感動を忘れて「使わないものを所有しているのはムダ。早めに手放すのが合理的」みたいな合理的とはとても思えない理由で手放してしまう。ちゃんと使いこなせよ…。
とはいえ、X-H1はいいカメラだった。歴代Xシリーズで一番大きくて重く、バッテリーも全然もたないし発売したメーカーが自らその存在を抹消しようとしているように見えなくはないが、それでもいいカメラであることに変わりはない。いまだ所有している唯一のXシリーズカメラだ。
おまけ:SONY α7RⅢ
今年の正月。毒電波にあてられたのか、正月で暇を持て余したのか。とにかくSONYが欲しかったのだけは覚えている。
このカメラは超速(約1ヶ月)で手放しているが、決して悪いカメラだったわけじゃない。原因は悪徳眼鏡美容師さんと一郎写真さんのブログ、それからα7RⅢを「買い増し」してたこと。機材を全部手放せばあのカメラに手が届く、という状況を作ってしまったことが原因だ。
こんな状況だったので、作例とかも特にない。本当にあり得ない。終わっている。
FUJIFILM → LEICA M MONOCHROM(Typ246)
もういっそのことライカでいいじゃん。
…心の闇を感じる、このときの精神状態については以下の記事に書いた。
もういい。もうカメラを買い換えたくない(LEICA M10 MONOCHROM欲しい)。
まとめ
写真を趣味にしたからといって、カメラを頻繁に買い換える必要はない。気に入ったカメラを何年も使いこなせるまで使い続ける。これが本来あるべき写真への取り組み方だと思う。…できてないけど。
そもそも10万円以上するカメラやらレンズやらを買う暇があったら交通費に充てて、国内外問わず撮影旅行に行って経験を積むべきなのだ。…今は行けないけど。
早く終わらないかな、自粛期間…
まだしばらくは我慢が続きそうですね。
機会があればαについてのコメントをお願いしていた読者ですが、
やっと触れていただいたものの、あまりにサラリとした記述に、
管理人様がよほど黒歴史と感じておられることが伝わります(笑)
在宅が続くこの機会に、更なる機材関係の記事を期待しております。
α7RⅢについては…あまりにも所有していた時期が短すぎて、評価できるほど使ってない、というのが正直なところです。本当にアホなことをしました…
さらなる機材の記事はない(はず)ですよー笑
毎回の楽しい記事ありがとうございます。
カメラ・レンズを購入・買い替えする時のエピソードとして私の記憶にあるのが、「写真が趣味なの?それともカメラが趣味なの?」と嫁に尋ねられた事です。
それからは、どうして購入・買い替えたいのだろう?と、しっかりと自問自答し答えを出して購入するようにしています(笑)
奥様の指摘、的確に痛いところを突いた、いい質問ですね!それに答えて自問自答できるKTさんも素晴らしいです!
私もこの質問には「写真が趣味」と即答できるようになりたいと思ってるんですけど…実はいまだにカメラ7割、写真3割くらいなんじゃないかと感じてます。
理想には程遠いですね。
もっと修行積まなきゃ