LEICA SUMMICRON-M f2/50mm (3rd)のレビュー

 

「SUMMILUXかSUMMICRONか、もう少し悩む」と言ったな

 

あれは嘘だ

 

LEICA SUMMICRON-M f2/50mm (3rd)を買った

前回の記事(↓)を公開してから2日後。


新宿の「みんなの防湿庫」サイトのカートに、見知らぬレンズが入っていたのでなんとなくポチッとした。この中古レンズがマップカメラに入荷してから、約半日くらいのスピード購入。言い訳させていただくと、あまり長い時間悩んでいたら売れてなくなってしまうんだ。それで何回か後悔したことがあるんだよ。だからこれはもうしょうがない…しょうがないんだよ。うん、しょうがない。

…気を取り直して。

今回購入したのは、ライカの「ザ・標準レンズ」であるSUMMICRON(解放F値2)の50mmレンズ、「LEICA SUMMICRON-M f2/50mm (3rd)」。名前の後ろにカッコ書きで表記しているとおり、このレンズはSUMMICRONの3代目モデルだ。ライカのレンズは同じ名前・同じスペックのものが年代ごとにモデルチェンジした後もほとんど名前を変えずに販売されている(たまに変わることもある)ので、何代目のものか書かないとわからなくなってしまうのだ。

ちなみに今回は買わなかったが、現行のSUMMICRONは4代目。現行品なのでもちろん新品が手に入るし、中古美品も数多く存在するため買いやすい。3rdの機能に特別こだわりがなく、懐に余裕がある状態でSUMMICRONの50mmが欲しいなら、最新の4thにしておく方が無難だと思う。

ライカジャパン公式 | ライカMシステム/Mシステム-レンズ/ズミクロンM-f2-50mm

なぜ3代目モデルを購入したのか?

上でも述べたが、買いやすくて性能もいい4thが発売されているのに、それをスルーしてなぜ3rdを購入したのか、その理由を説明していこうと思う。

見た目がかっこいいから

レンズの先端に向かって段階的に細くなっていく、そんな先細りデザインが本当にかっこいい。現行の4thのデザインだってもちろんかっこいいんだけど、私はこの3rdのデザインが好きだ。これは完全に好みの問題なので、人によっては4thの方がいいという方もいると思う。それはまったくもって間違っていない。人の数だけ価値観があっていいと思う。

なお、鏡筒・レンズ周辺の文字や記号に用いられているフォントは、最新のライカボディ・レンズと同じく「角ばった」ライカ独特のもの。2nd以前のモデルはもう少し普通のフォントになっているようだ。

これもまた好みの問題だけど、このフォントはM型デジタルライカと非常に相性がいいと感じる。カメラボディのダイヤルやモデル名のフォントと一貫性があるので、装着した時にしっくりくるのだ。(でもきっと、オールドレンズを買ったらそれはそれで「違和感がむしろいい」とか言い出すんだろうなぁ…。)

サイド
FUJIFILM X-H1 (XF60mmF2.4 R Macro, 60mm, f/2.4, 1/40 sec, ISO200)
かっこいいフォント。

欲しい機能があるから

最新4thモデルと3rdモデルは、レンズ構成がほぼ一緒であるため、描写性能はほぼ同じ(と思われる)。
ただし、それ以外の機能性に若干の違いがある。
説明は以下の項目に譲るが、個人的にはその辺りも3rdの方が魅力的に感じた。

先輩オーナーのブログに影響されたから

今回のレンズ選びにあたっては、ライカに移行する際に実際にお世話になったり、刺激になったりした下記サイトの記事がかなり影響(洗脳)している。
言うなれば、彼らにライカ沼に引きずり込まれた、ということなのかもしれない(自覚症状なし)。

おそろしい…

そんな素敵(危険)なサイトたちは以下の通り。

(比較的に)安かったから

私には10万ドルをポンッとくれるようなパトロンはいないので、レンズが安いに越したことはない。そして、4thより3rdの方が単純に安かった。当たり前だけど。これはあくまでも「比較的」安かっただけで、ライカレンズなのでもちろん高価だ。この小さなガラスの塊にこの値段を出せるのはある程度金銭感覚が麻痺した人間じゃないと無理。絶対に無理。

でもまあ、3rdがプレミア価格じゃなくてよかった。これはもう神に感謝するしかない(ライカレンズには本数が少なかったり人気があったりしてプレミア価格になるオールドレンズが多数存在する)。ありがとう神。

スペック

さて、このレンズに関して数字的な情報を求めている人がいるかどうかわからないけれど、恒例行事ということで、いつものように主だったスペックを表にまとめてみた。

型名 LEICA SUMMICRON-M f2/50mm (3rd)
発売日 1979年
レンズマウント ライカMバヨネット(デジタルMカメラ識別用6bitコード無し)
焦点距離 50mm
レンズ構成 4群6枚
最大口径比(開放絞り) F2
最小絞り F16
有効撮影距離 0.7m〜∞
全長(マウント面から) 約48mm(レンズフード装着時約65mm)
最大径 約39mm
質量 194g

3rdと4thにおける機能面の主な違いは以下のとおり。

  • レンズフード外付(3rd)、内蔵(4th)
  • 6bitコードの有無(3rdにはない)
  • ピントリングのノブの有無(3rd:あり 4th:なし)

ここで重要なのはレンズフード。個人的にはこのレンズにレンズフードを装着した形が好きなので、これのためだけに3rdにしたと言っても過言ではない。それに4thの内蔵フードは固定できなくて使い勝手が若干落ちるという評価がとあるブログでされていた。私はあまりレンズにプロテクターを装着する方ではないので、レンズフードはしっかりと固定されていて欲しい派だ。フードが固定されていないと、それだけでレンズが傷つくリスクは跳ね上がる。

ピントリングのノブ、これも重要。マニュアルフォーカスにあたって、このノブの存在は大きい。今、何mくらいなのかがすぐわかるし、操作もしやすい。現行モデルで省略している意味がわからない。…案外無くても大丈夫なのか?

6bitコードはあるに越したことはないけど、我慢できないほどではないかなぁと。もう少し経って少しの間手放してもいいと感じたら、ライカ社に送って6bit化(たぶん有償)するのもいいかもしれない。

外観

ここからはレンズの外観を見ていこう。とにかくかっこいいので写真多めでお送りしたい。

レンズ本体

レンズ前面
FUJIFILM X-H1 (XF60mmF2.4 R Macro, 60mm, f/11, 1/5 sec, ISO200)
レンズ前面

先に向かって細くなるデザイン。国産メーカーのAFレンズは基本的に太さが一定になることが多い(広角レンズだと逆に太くなっていく)ので、そういう意味でも新鮮味がある。いや、嘘。新鮮味はない。似たようなやつを見たことがある。富◯フ◯ルムっていうメーカーから出てた気がする。

レンズ側面
FUJIFILM X-H1 (XF60mmF2.4 R Macro, 60mm, f/11, 1/5 sec, ISO200)
レンズ側面

ピントリングに「ノブ」がある。上でも述べたけど、これがあるのとないのとではマニュアルフォーカスのしやすさにかなり差が出ると思っている。

ちなみにこのレンズはマップカメラの「良品」だった。いつもは「美品」以上しか買わないんだけど、今回は思い切ってグレードを下げてみたのだが、どう見ても美品だった。いやーよかった。光学系に汚れがあるとかチリが混入しているとかあるのかもしれないけど怖くて詳細を確認してないけどよかった。

レンズ背面
FUJIFILM X-H1 (XF60mmF2.4 R Macro, 60mm, f/11, 1/5 sec, ISO200)
レンズ背面

「LENS MADE IN GERMANY」表記あり。安定のドイツ製。日本に住んでいるんだから「メイドインジャパン」にこだわれやという批判は甘んじて受ける。富士フイルムのレンズは確かに日本製かどうかかなりチェックして購入していたし(XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS)。ちなみにドイツ製だから最高に安心感がある、と思っているわけではない。ライカ製だから信用しているのだ。いや、「お前がライカの何知ってんねん」と言われたらそこまでなんだけどね。

上記スペック表でも数値を載せているけど、このレンズは小さい。どのくらい小さいかというと、1本目のレンズ「ELMARIT M F2.8/28mm ASPH.」と比べると、長さがあるけど幅が狭い。容積は同じくらいじゃないかと思う。そしてELMARITよりも明るい。いずれにせよ、現代のAFレンズで同じ大きさを再現することはほぼ不可能。いや嘘。同じくらいの大きさのレンズ見たことある。◯士◯イルムっていう会社が出してた。…いやでも並べたら一回りくらい大きいのかもしれないけど。

レンズ比較
FUJIFILM X-H1 (XF60mmF2.4 R Macro, 60mm, f/11, 1/8 sec, ISO200)
ELMARIT28mm(左)とSUMMICRON50mm(右)

私は筋肉モリモリのマッチョマンの変態ではないので、レンズは小さく軽いほうがいい。そもそもLeicaはレンズよりもボディが重すぎるので結局首とか腕の筋肉が必要だという噂もある。

レンズフード

フード
FUJIFILM X-H1 (XF60mmF2.4 R Macro, 60mm, f/11, 1/7 sec, ISO200)
レンズフード「12538」

せっかくの小ぶりなレンズだが、通常はレンズフードを装着するので少し大きくなる。まあ、これはしょうがない。かっこいいからしょうがない。

それはそれとして、このレンズフード「12538」はプラスチック製のはめ込み型のフード。これいくらだと思う?…いやーびっくりだよ。ほんとにびっくり。中古美品で9,900円。いやいやいやいやプラスチックのフードだよ?しかも中古だよ?ちょっとどうかしているよね。そしてそんなフードを買っちゃっている私が一番どうにかなってしまっているよね。

ほんとうに、しょうがない。

レンズ+フード
FUJIFILM X-H1 (XF60mmF2.4 R Macro, 60mm, f/11, 1/10 sec, ISO200)
フード装着。

レンズフードを装着し、完全体となったセル。先に向かって細くなった後に盛大に広がって終わる。これは人によっては「かっこわるい」と感じる可能性があるな。質感も違うし、金属製のフードならよかったのに、と思わなくもなくもない。

まああれだなんかいろいろあるけどヨシ!

カメラ装着
FUJIFILM X-H1 (XF60mmF2.4 R Macro, 60mm, f/8, 1/6 sec, ISO200)
カメラに装着

カメラに装着してみた。ほら、かっこいい。いやーほんとかっこいい。でもなんかこの感じも国産メーカーのレンズに国産メーカーのカメラの組み合わせで同じようなのを見たことある気がする…

ま、いっか\( ˆoˆ )/

 

作例

さて、レンズばっかり眺めてないで写真撮ろう。このレンズは写真を撮るために買ったと言っても過言ではないような気もするし。よし、出発だ!やってやるぜ!

自宅の庭

庭
Leica Camera AG LEICA M MONOCHROM (Typ 246) (LEICA SUMMICRON-M f2/50mm (3rd), 0mm, f/3.4, 1/2000 sec, ISO320)

はい、庭です。緊急事態です。

Leica Camera AG LEICA M MONOCHROM (Typ 246) (LEICA SUMMICRON-M f2/50mm (3rd), 0mm, f/6.8, 1/1500 sec, ISO320)
被写界深度深め

しかも植物もまともに生えていない状態なので、テーブルセットと影。今回の作例では、このレンズの立体感の描写をお楽しみください。

Leica Camera AG LEICA M MONOCHROM (Typ 246) (LEICA SUMMICRON-M f2/50mm (3rd), 0mm, f/2.8, 1/4000 sec, ISO320)
最短付近での描写とボケ

接写+開放絞りでの撮影。ELMARITと比較するとかなりボケる印象。やはりSUMMILUXは必要なかったかもしれない(いや嘘ほしい)。しかしまあ、このレンズはボケよりも金属の質感というか、その辺りの描写がえげつないじゃないか。ちょっとざらざらした感じが表現できているように思う。

薔薇
Leica Camera AG LEICA M MONOCHROM (Typ 246) (LEICA SUMMICRON-M f2/50mm (3rd), 0mm, f/2.8, 1/2000 sec, ISO320)
薔薇の茎とボケ

こちらは全く花が咲いていない薔薇の茎。こちらも立体感・痛そうな質感が申し分ない写りだ。この画像は確か開放絞り(F2)で撮影した。ボケがうるさい…っていうのかな、少しざわついているのは背景が悪いせいな気もするが、このレンズの描写特性なのかもしれない。

椅子
Leica Camera AG LEICA M MONOCHROM (Typ 246) (LEICA SUMMICRON-M f2/50mm (3rd), 0mm, f/2.8, 1/1500 sec, ISO320)
後ろのボケがうるさい

椅子の後ろの背景は枯れ草。ざわざわしているのはやはり被写体が悪いせいか。

 

…いやいや、そうじゃないだろう。庭の写真を撮るためにこのカメラを買ったんじゃあないぜ。びびってんのか?俺は男だ。やってやるよ。批判されてもかまわない。撮りたいものを撮って何が悪い!

俺は行くぜ!

 

部屋

部屋
Leica Camera AG LEICA M MONOCHROM (Typ 246) (LEICA SUMMICRON-M f2/50mm (3rd), 0mm, f/2.8, 1/90 sec, ISO320)
セイルチェア

はい、部屋です。緊急事態宣言です。

パソコン
Leica Camera AG LEICA M MONOCHROM (Typ 246) (LEICA SUMMICRON-M f2/50mm (3rd), 50mm, f/2.4, 1/60 sec, ISO320)
浮いてるMacBook Pro

MacBook Proも浮いちゃう、緊急事態宣言。いい大人なんだからちゃんと家にいましょうね。ステイホーム大事。

ヘリノックス
Leica Camera AG LEICA M MONOCHROM (Typ 246) (LEICA SUMMICRON-M f2/50mm (3rd), 0mm, f/2.4, 1/250 sec, ISO320)
ヘリノックス

アウトドア行った気分に浸るために、ヘリノックスの椅子に腰掛けてみる。はい、嘘です。ソファの代わりにいつも家の中で使っているよ。思いのほか座り心地がいいよ。フローリングに直接置くと凹むので要注意だ!

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家で使うならボールフィートを使おう↓

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それにしても、繊維の表情をしっかりと映し出すこのレンズの実力の片鱗が垣間見える。これはやっぱりいいレンズだ。この先が楽しみだ。

なお、この撮影時に気が付いたんだけど、ボディ側でレンズ指定しても、Lightroomに表示されるF値が実際の設定値にならない。インターネットで少し調べてみたらどうやらそういう仕様らしい。どこかのタイミングで6bit化手術に踏み切りたい。いちいち撮影時の設定を記憶していられないのでちょっと困る。

そんなこともあって、exifデータは今回から非表示にしようと思う(っていうかexifを自動で表示できるプラグインを使っていたんだけどやめてみる)。このブログを読んでくださっている方にとってそんなに重要な情報じゃなかったんじゃないかと思うし、今後このレンズで撮った写真のexifデータは間違っているわけだし。

まとめ

描写について

立体感は申し分ない。開放F値が2というのは現代のレンズで言うと特別明るいレンズではないんだけど、今までAPS-Cの富士フイルムを使用していたこともあってか、F2でも十二分にボケていると感じる。それに立体感=ボケとは一概には言えないと思っている。その辺はよく言われている「ライカレンズの3D描写」ってやつに期待したいと思う。

描写の細かさ、線の細さについても満足だ。よくSUMMICRONはSUMMILUXと比べると線が太いと言われているが、比較しなければそうは感じないものだ。じゅうぶんに細い。っていうかこれよりも繊細な写りをするSUMMILUXってなにもの…。

色乗りとかはわからない。すまない。

使用感について

ピント合わせはノブがあるのでやっぱり楽だ。っていうか、ライカに移行した時にはあんなに不安視していたマニュアルフォーカスにすでに慣れようとしている。慣れって怖い。いやまあ、オートフォーカスしたくてもできないんだから当たり前なのか。

サイズ感も問題ない。ELMARIT28mmと比較すると少し縦に長くなってしまっているが、今のところ(庭と部屋の中)困ったことはない。これは実際に持ち歩いてみた時にまた評価したいと思う(いつの日になるかわからないが)。

その他気になることはexifデータくらいだが、これはある程度わかっていて買っているので(まさかF値を正確に拾えないとは思わなかったが)許容範囲内だ。でも、6bitが偉大だということが改めてわかった気がする。

LEICA SUMMICRON-M f2/50mm (3rd)は「買い」か

このレンズは「買い」だ。第一にかっこいいから。そして第二に描写が優れているから。これ1本持っているだけで安心感が違う。ライカ買ったらSUMMICRON。その評価に偽りなし、だ。

フード装着!
FUJIFILM X-H1 (XF60mmF2.4 R Macro, 60mm, f/8, 1/8 sec, ISO200)
かっこいいの化身。

おまけ

ライカレンズの表記が、参照先によって少しずつ違う。
オールドレンズはもちろん、現行レンズでも違っている。
正式な表記ってあるんだろうか。

今回紹介したレンズの表記もどれが正解なのかわからず迷ってしまっている。なんかこういうのはもやもやするので嫌なんだけど。後から直すのも面倒くさいし。
いろいろ調べたんだけど、逆に混乱してしまった。

  • ライカ ズミクロンM F2/50
    (日本語版ライカ公式)
  • LEICA SUMMICRON-M 50 f/2
    (英語版ライカ公式)
  • LEICA SUMMICRON-M 1:2/50(mm)
    (ドイツ語版ライカ公式)
  • Leica (ライカ) ズミクロン M50mm F2 3rd ブラック
    (マップカメラ)
  • LEICA SUMMICRON-M f2/50mm
    (PHOTO YODOBASHI)

ライカ公式ですら表記がバラバラ。
正解がわからない…。

とりあえずはPHOTO YODOBASHIさんの表記がこの中ではわかりやすいかと思うので、一旦はこの表記で統一しようと思う。