X100Ⅵと、大人の趣味について。

X100Ⅵが発表、そして発売日が決定。

 去る2024年2月20日、富士フイルムから新製品「X100Ⅵ」が発表された。
 そして、国内での発売は3月28日になるようだ。

 X100Ⅵは富士フイルムXシリーズの元祖「X100シリーズ」の6作目であり、高画素センサー・手ぶれ補正等、現時点で富士フィルムが持てる最高水準の機能が搭載された、ハイスペックなコンパクトカメラだ。

 以前から最新の富士フイルムのカメラが欲しいと思っていた私は、正月くらいからこのカメラを予約購入しようと決意していたのだが…。

 以下に、X100Ⅵ供給不足問題の現状への思いと、それに関連して最近の「大人の趣味」周辺を取り巻く環境と空気感について、思うところを書いていきたいと思う。

RICOH IMAGING COMPANY, LTD. RICOH GR IIIx (GR LENS, 26mm, f/2.8, 1/30 sec, ISO6400)

X100Ⅵを取り巻く環境について

 私は最近、「新製品からの暴力的な物欲」を回避するために旧型モデルを狙って購入していた。
 それはとても賢明な判断ではあるのだが、それにより機材からの刺激を得られなくったことでカメラ熱が急激に冷めていることに危機感を覚え始めた。
 やっぱり、新製品をゲットすることの高揚感も感じたい。
 そして急激に「最新機種を試したい」「特に最近の富士フイルムに触れたい」という思いを強くしていた。
 そのため、タイミングよく発表される最新機種、X100Ⅵの予約購入は私にとって「確定事項」となり、悩みは「カラーをシルバー・ブラックのどちらにするか」くらいのものだった。
 
 …でも今は、本当にこのカメラの購入希望者の列に並んでいいものか、悩み始めている。

 以下にその理由を書いていく。

価格

 X100Ⅵの販売価格は予想を大きく上回った。
 20万円を超えてくることは予想していたが、28万円は流石に予想外だった。

 ただ、最近の円安傾向、ドルベースでの値付けという意見もあり、そういう見方もあるのかという思いと、機能面の進化が大きいこと、追加で交換レンズ等が不要なこともあり、かなりダメージは大きいものの納得できないわけではないかな、ということで、購入を躊躇する決定的な理由ではない。

RICOH IMAGING COMPANY, LTD. RICOH GR IIIx (GR LENS, 26mm, f/2.8, 1/40 sec, ISO4000)

購入難易度

 どちらかといえば、このカメラを「普通に購入することがほぼ不可能」であることが、自分の中でかなり引っかかっている。

 このカメラ、発売前からかなりの大人気で、すでに生産台数の数百倍のバックオーダーがあるとか、初期生産分の予約購入を逃すと買えないまま生産終了するとか、あれこれ噂されている。

 噂の真偽はともかく、マップカメラの初回予約が瞬殺だったことからもある程度の信憑性はありそうだ。

 機材ラインナップを考える時に、「買えるかどうか分からないカメラ」を当てにすることができるのか。
 買えなかった時の落胆、いつ入荷するか分からない状況になったときの苛立ち。
 今の時点で、この春からX100Ⅵを戦力として計算するのはリスクが高すぎる気がする。

購入目的の歪み

 もう一つ引っかかるのは、このカメラを「純粋に撮影機材として使い倒す」自信がないからだ。
 X100Ⅵの「希少価値」が購入の動機になっていないだろうか?
 「写真を撮る道具」として、このカメラを扱えるだろうか?

 話は変わるが、私は転売屋が嫌いだ。

 インターネットにより個人売買の敷居が低くなったことにより、その弊害として生まれた迷惑行為。
 商品の希少性だけに目を付けて、転売益で金儲けをして社会に属さず楽に生活したい、という身勝手な理由で行われる買い占め。

 カメラ、レンズ、ゲーム機、プラモデル、トレーディングカード、スニーカー…。

 彼らが新発売の商品に群がる様は、どのジャンルのものでも正直かなり気分が悪い。

 X100Ⅵを手に入れるために列に並ぶ行為は、彼らと同じ土俵に上がるということではないか。

 というか、実際ちょっと考えてしまった。
 「コンパクトカメラにしてはありえないほど高いけど、少し使って気に入らなければ売ってしまおう。うまくいけば購入価格よりも高く売れるかも…」
 そして、そんな自分の考えに勝手に自己嫌悪した。

 現在、富士フイルムのカメラを取り巻く環境は異常だ。
 これはライカ界隈にも同じ空気を感じるが、供給量に対して需要が大きすぎて、転売屋の格好の餌食になっている。

 よりにもよって、私が所有している主要なカメラメーカー2社だ。

 機材に振り回されず、純粋に写真に打ち込むためにソニーを手放したはずなんだけど…。

 今は「純粋に写真趣味を楽しみたいなら、富士フイルムとライカこそ、最も避けるべきメーカーだったのかもしれない」とまで思い始めている。

RICOH IMAGING COMPANY, LTD. RICOH GR IIIx (GR LENS, 26mm, f/2.8, 1/40 sec, ISO4000)

大人の趣味界隈について

 最近どうにも、大人の趣味にまつわるモノ・コトが、金づるとしてメーカーやら転売屋やらに異様に狙われている感覚がある。

 社会に出て、自由に使えるお金ができて、趣味にお金がかけられるようになり…昨今の「推し活」ブーム等、趣味に没頭することが正当化される世の中になった。
 その弊害として、無制限にお金を使う傾向も出てきていて、そこを付け狙う連中が大量発生するのは、もはや必然なのかもしれないけど。

 私のように、人間関係を極力減らして一人で過ごしたい人にとって「趣味の時間」は非常に重要なのだ。

 仕事の人間関係やら相手方との関係やらに疲れた社会人にとって、週末の「誰にも邪魔されずに趣味に没頭する時間」はとても貴重だ。

 転売行為は、そんな大事な世界にずかずかと土足で踏み込まれて、払う必要のない金を要求されているような、得体の知れない気持ち悪さと憤りを感じるのだ。

 最近は趣味界隈のそういうきな臭い空気感を感じすぎて、カメラやガンプラを買うことさえ純粋に楽しめなくなってきた。

 カメラも買い占めで品薄、ガンプラも買い占めで品薄
 急かされるようにとりあえず予約、たいして考えずに、とりあえず購入。そうしないと適正価格で手に入らないから。損するのは嫌だ。

 そして。
 考えずに買った機材もガンプラも、使わず・作らずに売却…?

 それって、転売屋と何が違うんだろうか。

 …そんな嫌な気持ちになるくらいなら、カメラもガンプラもやめて、休日は1日何も考えずに寝てたほうがマシかな…。

RICOH IMAGING COMPANY, LTD. RICOH GR IIIx (GR LENS, 26mm, f/2.8, 1/40 sec, ISO1600)

まとめ

 とりとめもなく、特にまとまりもないのだが、ひとまずX100Ⅵの予約購入についてもう少し状況を見てみようと思っている(どうやら先着順ではなく抽選販売の店舗が多いようなので)。

 いいカメラなのは間違いないし、キープコンセプトで正統進化している点も非常によい。

 ただ、取り巻く環境が劣悪すぎるというだけで。

 さて、どうしようか…。

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7件のコメント

昨年の「Xシリーズへの思い」にいたく共感したものです。私も売ってもお金にならないX-M1(これはこれで操作は糞ですが写りはよかったりします)とレンズ2本を残して、富士フイルムを売り払いました。もう2度と新規追加することはないと思っていますが、いまだに富士フイルムで撮った写真を見るといい写りなんだよなと思ったりして複雑な思いです。

最近思うのは富士フイルムがついにブランドを確立しつつあるなということですかね。キヤノン、ニコン、ソニーのような写真機、ガジェットという方向性をやめて、ライカ、ツァイスのようなブランドビジネスに転換しようとして、その努力が実りつつあるのだと理解しています。

日本のメーカー(あえてブランドとは言いませんが)がやろうとして出来なかったことですが、富士フイルム、頭良い人たちの集まりですからね。そういう意味では見事だなぁと思いますし、日本が苦手なところに到達しつつあることを応援したくなる気持ちはあります。が、二度と敷居をまたぐことはないんですけどね、個人的には。X100Ⅵが15万円なら戻りますけど笑

あと、転売ヤーに対しては、ほんと同感です。

探し人さん、コメントありがとうございます!

富士フイルムがブランドを確立した…確かにそう言えるのかもしれません。X100Ⅵが売れ残ることはないでしょうし、全世界どこでも等しく高い付加価値を付けて販売できているのは成功と言えるのかもしれません。

ただ、そのために肝心の実用品であるカメラが手に入らない…はなんか本末転倒というか。
今、富士フイルムのカメラを使いたい人たちが在庫不足に愛想を尽かして去り、この異常加熱したブームが去った後、果たして富士フイルムは生き残れるのか…みたいな妄想をしています。

無関係な第三者の杞憂ですけどね

>肝心の実用品であるカメラが手に入らない…はなんか本末転倒というか。

まさしくその通りですよね。
カメラは撮ってなんぼの道具ですからね~。入手ができない=撮れないカメラはブランド価値が高くても要らないなーというのが私の意見です。少なくとも日本では富士フイルムに愛想つかした人はけっこういるんじゃないの?と思いますね。

需要と供給のアンバランスが招いた今回の混乱と騒動は前機種のX100V同様、予め想定内であった事は万人が認めるところでしょう。にも関わらず、Limited Editionを含めてその販売デリバリーの軸足を海外市場に力点を置いたフジの戦略に疑問を感じると共に購入意欲も完全に萎えました。全ては同社の戦略の誤りと準備不足と詰めの甘さがもたらした今回の現状でしょう。全ては消化不良のままこのまま進む事と思います。

富士フイルムが100%悪いとは思わないし、私企業として当然の方針だとは思うんですけど、そんなことは消費者には何の関係もないですからね。決して安い買い物ではないですし、それがすんなり手に入らない、しかも国外が優遇されるとなれば…私も内心穏やかではないです…。

ライカのようなブランドを確立したと言えるのかは、現段階では微妙かなと思います。
・大幅値上げとなっているのは、日本を含む通貨が弱まった国であること。ドル建ての値上げ幅は200ドル程度で、日本の高騰は急速な円安が主因です。
・世界中で転売ヤーに目をつけられていること。既にeBayで4000ドル(元値1600ドル)以上で取引成立しているとの情報も。

状況的にはむしろ「投機品」としてのブランドを確立しつつあるように見えます。こうなることは誰にでもわかったのに限定版まで出す姿勢を見ると、むしろ転売によるプレミア化を助長したいのでは、とすら。
海外を優先、というより日本を軽視する姿勢自体は仕方ない(購買力が無いので)と思いますが、露悪的なまでにそれを出してくるのも……失礼ながら、フジユーザーじゃなくてよかった、と感じてしまう状況です……。

確かに、ライカのブランド性とはまた違う方向性(レア度のみ)と言えるのかもしれませんね。ライカも最近は似たような価値基準になってきているレンズもありますが、いずれにせよ健全とはとてもいえない状況かなあと…
富士フイルムは好きなカメラメーカー筆頭だったこともあり、非常に悲しい気持ちです。
ここから再度好感度アップになる話題とかは…厳しいかもしれませんねー

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