断捨離2023 -「終わる」ための機材整理-

断捨離2023、開幕。

 また、この時期がやってきた。

 カメラ断捨離だ。いったい何回目だ。

 ここまでの私の断捨離の歴史は「失敗の歴史」だ。

 ゲームのリセットボタンを押す感覚で持っている機材を断捨離して、「今回で最後にしたい」と思っていたはずなのに、結局気がつくと別の機材の山に囲まれる。
 振り返ってみれば、「今の機材に飽きたので、機材を入れ替えて楽しみたいだけ」だったのではないか、とも感じる。

 現在の機材は…

 レンズ交換式カメラ:5台
 コンパクトカメラ:2台
 交換レンズ:ズーム4本、単焦点9本


 なんだこれ。「断捨離」という言葉がむなしく響く。

 でも、今回は事情が違う。
 今回は「趣味を続けるための入替」ではなく、「趣味を終わらせるための縮小」。

 以下に、今回の機材整理をするに至った顛末を記録しておこうと思う。

Leica Camera AG LEICA M MONOCHROM (Typ 246) (SUMMICRON-M f2/50mm (3rd), 50mm, f/5.6, 1/4000 sec, ISO800)

「過剰な機材ラインナップ」となった経緯

 まず、現在のラインナップになっている経緯から。

 転機となったのは、東京から北海道への異動。

 いつのまにか「東京の街を撮影すること」が趣味になっていた私にとって、それは最大の趣味、生きがいが取り上げられることを指していた。

 当時、ライカのモノクロ専用カメラがメインだったが、北海道の自然を撮影するには不向き。
 機材はM MONOCHROM(Typ246) とFUJIFILM X-H1と交換レンズ数本が手元にある状況だった(東京ラスト付近にライカを買うために大部分の機材を手放したところだった)。

 風景撮影にはX-H1で十分だったはずが、同時期に発売されたX-S10でフジフィルムの先行きに賛同できなくなり、「これからの写真趣味」を考え、将来性が高いという判断でSONYαへ機材変更した。(直後に一部の富士フイルムカメラ・レンズを買い戻すという暴挙に出ているが)

 結果、札幌近郊の自然風景も撮ったが、結局のところ、札幌の街中を撮影するほうが多かった。

 札幌はそれでも多少は都会なので、ライカを併用しつつ、SONYαでもそれなりに撮影に出ていた気がする。

 問題が深刻化したのは、その2年後。

 東京→札幌→道東という、見事な3段落ちを果たした。
 私にとって、興味のある被写体を探すことは非常に困難な状況となった。

 そんな中、私が「趣味としての写真」を続けるための唯一の方法が「被写体の変更」。

 「北海道の雄大な自然風景を撮影できる恵まれた環境。」
 それを活かした風景写真を撮ろう。


 それを実現するためのカメラ・レンズラインナップはなにか。

 「SONYの高画素フルサイズセンサー × SIGMAのArtレンズ」。

 SONY純正レンズは価格が常識の範囲を超えている(ライカレンズを買っている人間が何を言っているのかという批判は受け入れる)ので、導入時は選択肢に入っていなかった。
 それに引き換え、SIGMAのレンズは現実的な価格だった(少なくとも私にはそう思えた)。

 ただ、結果としてはSIGMAの「中途半端に安い価格設定」が、「欲しいレンズは買えばいい」に拍車をかけた。

Leica Camera AG LEICA M MONOCHROM (Typ 246) (SUMMICRON-M f2/50mm (3rd), 50mm, f/2.8, 1/60 sec, ISO800)

結局、「興味のない被写体」とは向き合えない

 「新しい機材を導入すると、写欲が湧く」
 
 という、これまでのカメラ趣味人生の経験則から、レンズを買い足していった。

 14-24mm F2.8 DG DN | Art
 85mm F1.4 DG DN | Art
 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary


 SONY純正レンズより安い。
 だが、安い買い物ではない。全部10万円以上する。

 10万円以上する機材=高級品。
 …そんな常識的な感覚は、日々のストレスの前に無力だった。


 だが今回は、なにか様子がおかしい。
 機材購入の効果が、ぜんぜん長続きしない。
 1回撮影に行ったっきり、使用していないレンズもある。

 なぜだ。

 そうか。

 そのレンズで、撮りたいものがないからだ。
 ここは道東だ。私が撮りたい都会の建築物はない。

 今までのように「新しいレンズを使うために撮影に行く」にしても、そのレンズを向ける被写体がない。
 いや、被写体はあるのだが、その被写体に興味が湧かない。

 結局のところ、ネイチャーフォトに興味を向けられない。

 じゃあ東京まで行けばいいって?道東から?
 何時間かかって、いくらかかるか知ってる?
 レンズの試し撮りのために気軽に東京に行けるか、といえばそれは本当に無理だ。

 興味のある被写体までの距離が遠すぎて、そこへ辿り着く意欲が湧かない。

 それでも一昔前ならなんだかんだと機材への興味が私を後押ししてくれたが、その感覚は麻痺してきている。

 もう、「写欲を喚起するための機材導入」は私には効かなくなってしまったのかもしれない。

 これが老化か。

01SONY ILCE-7RM3 (24-70mm F2.8 DG DN | Art, 35mm, f/2.8, 1/1250 sec, ISO100)

SONY αシリーズから生えてくる「欲望」

 SONY αシリーズのフルサイズ一眼は、今でも「最高のカメラシリーズ」だと思っている。
 最も充実したラインナップ、洗練されたデザイン。
 小型軽量なスタイル、先進の機能。

 どれをとっても不満などない。

 ただ、私にとってこのカメラ機材は「欲の発生装置」となってしまっていた。

 撮りたいものが撮れない、仕事が精神的にキツイというストレスを抱えた私にとって、週末にできることと言ったらマップカメラと機材系YouTuberの動画漁りくらい。

 使いもしないのに、「最新機種への買換え欲」と「SONY純正レンズ購入欲」が湧いてくる。

 最新のAIを活用したAFを搭載したカメラ。
 リニューアルされた大三元ズームレンズ。
 小型化された大口径単焦点GMレンズ。
 機動性を高めた開放F4固定のGズームレンズ。
 純正レンズならではの、高速AF、デザインの整合性。

 「このカメラ、最高。」
 「このレンズ、最高。」

 そんな動画を毎週のように見て、でも自分の懐事情を見て、「やっぱり無理」「なんとか買えないわけじゃない」「でも買っても使い道がない」「でも欲しい」…みたいなことを繰り返す。
 そして、貴重な週末がまたドブに消える…。

 そして、気がついたのだ。
 
 これ、Nikonを手放した時の自分と同じ状況になってないか?

 マウントからレンズが生える。
 最終的に、純正の大三元ズームで上がりたくなる。
 上がったら最後、撮影に行かないことが罪になる。

 また同じ過ちを繰り返すのか。

 そうなる前にサヨナラしなくてはならない。
 私には、過ぎた機材だ。

00FUJIFILM X-H1 (XF60mmF2.4 R Macro, 60mm, f/9, 1/20 sec, ISO200)

いつでも、「今」をやめられるように。

 話は変わるが、これからの人生について。

 お恥ずかしい話なのだが、私にはスキルがない。
 この現代社会を生き抜いていく、どこでも通用するような仕事スキルがない。
 
 私の怠惰な人生の結果がこのザマだ。

 そんな人間なので、いきなり仕事を辞めたりすれば無職まっしぐら。その恐怖だけで、現職にしがみついている人間だ。

 とはいえ、最近の自分の精神状態や仕事の状況を考えた時に、今の仕事・生活を今後何十年も続けられるかといえば…それは無理だ。考えたくもない。

 となれば今後のことを考えると、今までのように趣味に惜しげもなく金を投入するわけにはいかない。

 実際もういい歳だし、家庭を持っているわけでもない。
 長生きに執着する理由はないのかもしれないが、さすがにまだ死にたくはないし。
 
 ただ、実際のところ「死にたくなる年齢まで何もしないで生きる」というだけでも、結構な額のお金が必要になるのが現代社会(たぶん)。
 余分な生活コストは切り詰めていかないといけない。

 特に、「形だけの趣味」に費やすお金は無駄でしかない。

 金と収納スペースばかりかかっている「趣味」らしきものの残骸。

 カメラ・レンズ・写真関連書籍
 ガンプラ・プラモ作成機材
 スニーカー・革靴


 こいつらはできるだけ金に換えて、生活を軽くしたい。

 またいつもの「断捨離もどき」かもしれないが、今の状況を少しでも改善していくには必要なことだと思っている。

RICOH IMAGING COMPANY, LTD. RICOH GR III (, 18.3mm, f/2.8, 1/60 sec, ISO200)

今後、写真・カメラ趣味は「縮小」する

 そんなわけで、写真趣味は縮小する。

 必要最低限の機材だけを残して全て売却…が理想だ。

 ただ、そうなると私に必要な機材なんてない
 今の撮影頻度では、極端なことを言うとGR Ⅲ1台…どころか、iPhoneで十分

 さすがにカメラ機材全売却は悲しいし、所有しているライカのカメラ・レンズはリセールが芳しくないという状況もある。
 今後、いろいろ手放していった結果、もしかするとiPhoneだけになるのかもしれないが、そこは段階を踏んでいこう。

 いつも極端にやりすぎて後で後悔しているし。

断捨離進行中…

 そういうわけで、ここ数週間でいろいろと、不要なモノの整理を始めている。
 実はすでに、一部機材は下取り交換済みだ。

 ひとまずの結果が出たら、このブログでも紹介したいと思う。

 今のところ、写真趣味は縮小しながらも継続していく予定だ。
 でも、無理して撮りたくもない被写体を撮りに行くことは、もうないと思う。

 このブログはどうするか。継続していきたいけど…。

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4件のコメント

こんにちは!以前、Instagramよりコメントを残させて頂いた者です(^ ^)
わたしは元々、商品の物撮りから、父親の形見のLeicaを引っ張り出して来て、それが壊れたので、こちらのブログを参考にさせて頂きながら、E4に決めたのですが、レンズは標準レンズ1本あれば充分なわたしにとって、沢山の機材を使いこなされていて素晴らしいな、と感じました(╹◡╹)祖父のcanonのオールドレンズも出て来ましたが、重たかったりして、いまいち出番も少なめです
お仕事されていると、写真に割く時間も大変ですよね…わたしも仕事の合間に、ちょっと家の周りを撮影したり、家の中を撮ったりが先の山です笑
YMさんの風景のお写真も素敵だな、と拝見しておりますので、ブログも含めて、これからも楽しみにしておりますね!

Dolisさん、コメントありがとうございます!

機材が多くなり過ぎて、自分が使用・管理できるキャパを超えてしまって、今回の結果になりました。
最近はDolisさんのように、「標準レンズ1本で撮影をこなす」という感じにむしろ憧れます。

今後は身の丈にあった趣味の楽しみ方をしていきたいと思います。
自然風景の写真も、お約束はできませんが活力が戻ればきっと…!

いつも興味深く拝見させていただいております。

私もYMさんと同様、都心をスナップするのが好きでしたが、家庭環境の変化により写真趣味にお金と時間を割くことが難しくなっております。
その当時は(今もですが)相当ストレスに苛まれました。ストレスに負けてカメラやレンズ、カメラバッグの入れ替えも何度もしました。経験上、満足いく撮影ができていない時ほど機材のことをあーだこーだ考えてしまっていました。

そこから脱却するために、やはり私も断捨離をしました。
特にカメラだけなく他の趣味、ひいては服など日用品に至るまで、自分の管理下にあるもので興味のないものは徹底的に減らしていきました。学生時代に愛用していた音楽機材も全て手放しました。
すると段々と心の乱れが落ち着いてきたことを覚えています。私にとって断捨離はかなり効果がありました。

難しい環境にあるかと思いますが、カメラは楽しくやってナンボだと思います。
無理し過ぎず、ブログの更新をお待ちしております。

Toruさん、コメントありがとうございます!

ストレスでモノを買う→断捨離をする、という流れ、やはりこれが正しいということか…

ただ、私はその後必ずと言っていいほどリバウンドを起こしてモノが増えてしまうんですよね…。

私も今はまさに断捨離の時期に入ってまして、カメラ機材以外の整理も併せて進めている状態です。

以前のリバウンドの原因になった「断捨離しすぎ」にならないようにうまくモノを減らして、今度こそ心の平穏を掴みたい!と思います!

そして、また楽しくブログ更新できたらなあ、と思っています。今後ともよろしくお願いします!

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